あしたがくるまえに

真剣30代しゃべり場

これだから大人は

 

仕事を辞めてから2週間休みがあった。暇すぎて家事以外なんにもすることがなく、Netflixで海外ドラマやアニメを観ながらルームランナーで走りまくり、3キロ痩せた。アウトドアな趣味とかある人が羨ましいって初めて思った。

仕事を辞めて休暇中だという話をすると、暇そうなのを察してか、会おうよと提案してくれた友人がいた。2人の子どもを育てる母である彼女は忙しく、1年ほど会っていなかった。「娘はじっとしてられないから旦那に見てもらうけど、息子は連れて行くね」とのことだった。

息子のユウセイくんは、しばらく見ないうちに少年になっていた。1歳で、まだ意思疎通のできない赤ちゃん状態の頃に初めて会ってから、4年ぶりの再会。友人が「ママのお友達のアキちゃんだよ」と言うと「アキちゃんこんにちは」と言いストンとわたしの隣に腰掛けた。すっかり少年になった彼は、軽快なトークラジオパーソナリティの如くその場を回した。そして、1時間半足らずの間にわたしに恋をしてくれたそうな。小さな唇で、流れるようにどんどんわたしの好きなところを挙げてくれたのだった。

「いいにおい」「かわいい」「あなたのことが好き」

思ったことをそのまま伝えることができるって、なんて尊いことだろう。

 

その日の晩、友人から着信があり「1度話したら納得して寝るから」と言うので、彼が夜寝る前にテレビ電話で話した。

「どこに住んでる?」「何のお仕事してる?」「次はアキちゃんにいつ会える?ママがいなくてもいいよ」

聞きたいこと、言いたいことを全部素直に言えるって気持ちがいい。「アキちゃんは大人でぼくは子どもだけど、アキちゃんのことが大好きになった」なんて言われて、ちょっと涙が出るかと思った。人生で1番キョーレツでうれしい告白。ありがとうユウセイくん。


素直でも赦される子どもが羨ましい。もうわたしは、いっぺん死んでも子どもに戻れるのかわからないぐらい大人になってしまった。周りにいる人間もみんな大人。

大人はめんどくさい。またこの人と会いたいなって思っても、この人のことが好きかもって思っても、恋人はいるの?って聞きたいなって思っても、大人だからブレーキをかけてしまう。わたしは特に「もうなるべく傷付きたくない」って思ってる、よりズルくて保身的な大人だから言えない。聞けないんだな。

 

こうして、「何にもしない」を実践した2週間の休みを終え、金曜からは働くことをまた始めます。

本当、大人はめんどくさいな。