あしたがくるまえに

真剣30代しゃべり場

秋によせて

 

今朝、5時すぎに目が覚めた。酔っ払って開けっ放しで寝た窓から入ってきた、雨の予感を孕んだ湿り気のある冷たい風に起こされた。昨晩は飲みすぎた。記憶をなくす手前で、ベッドの上に脱ぎ捨ててあった厚手のスウェットを着て眠ったのに寒くて、秋だなと思った。

ちなみに、齢28にして、自宅で記憶をなくすまで飲むのは初めてだった。


お盆に「休めないし残業時間は毎月80時間、もうこんな生活嫌だ」と、ふと転職しようと思い立ち、人生で初めてハローワークに行った。

経歴を書いたシートを愛想のいい相談員に渡すと、県内ではわりと名の知れた企業の求人シートを何枚も渡してくれ、条件のよい二社に履歴書と職務経歴書を郵送、応募する形になった。書類が通過し、二度の面接を経て、二社ともよい結果をもらった。どちらも、毎月の勤務時間は今より80時間短く、年収は100万円上がるという。条件提示の場で、ボーナスの額を聞いて「マジですか」と言いそうになった。やりたい仕事でがむしゃらに働くことじゃなく、やりがいと収入のバランスを見比べて働くことが、人生を豊かにするひとつの手段でもあると知った。

そもそも、日本人ってどうしてこんなにも働かなくてはいけないのか。みんな死ぬほど働いて、それでもお金が貰えないのに、もうじき、100円のモノを買えば10円の税を納めなくてはいけなくなる。くたびれたスーツのおじさんが、コンビニで、増税前にとカートンでメビウスを買っているのを見ると切ない。禁煙に成功していてよかった。あんな風にカートンでタバコを買わなくて済む。


やりがいのため、スキルを上げるための仕事をやる生活に耐えきれなくてドロップアウトしてしまったから、これからはやりたいことをやるため、欲しいものを買うために働く生活が始まる。これまでの仕事で培った何かを活かせるかもしれない仕事だし、それも悪くないと思っている。これから、いっぱい貯金して、一人暮らしも始めて、やりたいこともたくさんやろうと思う。

この仕事を始めてから、得たものが本当にたくさんあった。だけど、できなかったことがそれ以上にあった。こないだ宮本が暴れてる紅白見て笑ってたと思ったのに、もう秋なんだよ。信じられない。思い出に残ることなんかなーんもしてないの。

あと、Whitneyの新譜がめちゃくちゃ良くて、久しぶりにバイナルを買った。大好きなものなのに、ほんのちょっとだけ針を落として聴く心のゆとりさえ、ずーっとなかったんだなって思った。